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人命に国境も時の世情もなし、国家融和の根源はここに宿る [世相雑感]

大越の浜墓碑.jpg

かつて古式捕鯨で栄えた長門市通(かよい)。
人口が1300人ほどの漁業の町は安倍晋三首相とプーチン大統領の長門会談で、別の意味で注目を浴びそうだ。
日露戦争にまつわる知られざる縁である。

日本海に浮かぶ青海島の東端、大越の浜に両国兵士の墓碑が並んで立つ。
「日露の役帝国御用船常陸丸遭難の際・・・」。
一つの碑文などでは、1904年6月15日に陸軍の常陸丸が玄界灘でロシア軍に撃沈され、漂流する犠牲者を住民が葬ったという。

もう一つは翌年の日本海海戦で命を落として漂着した何人かのロシア兵を供養するもの。
しばらくは石を置いただけだったが、明治維新100年を迎えた48年前に老人会が碑を建立した。
長きにわたり、住民が地道に供養を続けることは驚くべきだ。

海を営みとする生活は危険と隣り合わせ。
「お互いさま」ではなかろうが、身寄りの分からない死者は先祖と同様に供養するよう言い伝えられるらしい。
国境もなく、たとえ敵でも。

12月の首脳会談の舞台と目される温泉から車で30分ほど。
「大統領の訪問を」とは住民の願いだ。
成就するかどうかはさておき、世紀を超えて受け継がれる融和の営みは、メッセージとして伝えたい。




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海の向こうも赤ヘル旋風、政治決戦とともに目が離せない [世相雑感]

大統領選.jpg

赤いヘルメットの地元球団が久々の快進撃を見せた。
テレビ中継に沸く夜の酒場。
突如、チャンネルが選挙番組に切り替わっても文句は出ない。
先頃、出張先の米ワシントンで見かけた光景である。

向こうの赤ヘルは、ナショナリズムという。
初のワールドシリーズを目指す正念場の試合と、大統領選の候補者討論が重なった。
壁掛けテレビが並ぶスポーツバーに集まったのはクリントン支持者。
野球ファンを巻き込んで舌戦を「観戦」した。

半世紀の歴史を重ねるテレビ討論。
話の内容はさることながら、着こなしや顔色の良しあしにまで関心が向けられる。
国民の3分の1に当たる1億人の耳目を集めるも、例のない「嫌われ者対決」だ。

女性蔑視発言を「ロッカールームの会話」と開き直るトランプ氏にブーイングの嵐。
片やクリントン氏もウォール街との癒着が批判される。
泥仕合には「恥ずかしいが、これもアメリカ、これも政治」との声を聞いた。

きょう午前、最後となる3回目のテレビ討論がある。
環太平洋連携協定(TPP)など私たちに関わりの深い話も語られるか。
間近に迫る赤ヘルの日本シリーズが気になるが、わが国も政治ウオッチを忘れまい。




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花道となれ日本一、男!黒田博樹!!記録と記憶を置き土産に [スポーツ]

黒田引退会見.png

「負けられぬ」と力んで闘志が空回りする・・・。
リーグ覇者となった今季の広島東洋カープにも苦い記憶がある。
黒田博樹投手の日米通算200勝に王手がかかった試合で、2戦続けて、打線はがちがちになった。

あの時以上に、「黒田さんのために」とチームが奮い立つのは間違いあるまい。
日本シリーズ限りでの引退を黒田投手がきのう明らかにした。
「強いカープ」へと、もう一皮むけるには、一丸になる必要ありと踏んだのだろうか。
吉とでてほしい。

昨季を終え、「燃え尽きた」とも漏らしていた。
引き留める若手投手陣に思い直し、現役20年目に入る断を下すや優勝の2文字を口にした。
有言実行を己に課し、発奮材料の力に変えた。

今年の正月、テレビで流れたビールのCMで、「父とは」と尋ねる俳優の妻夫木聡さんに答えていた。
「ひと言だけで、家の空気を変えられる」。
彼のひと言も、その一球とともに、ナインの空気を変えてきた。

記者会見では、ユニホームを脱ぐ理由については言葉を濁した。
これから戦う相手がいるのに、弱みを見せるはずもない。
これで見納めとなる晴れ舞台が近づく。
あとは日本一をつかむだけ。
黒田投手とともに。




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個人の才能や能力がもっと生かせる伸ばせる、多様化社会に向かう。 [日記・雑感]

多様化社会.jpg

日本の会社で長く制限されてきた「兼業」「副業」を見直す動きが出ている。
柔軟で多様な働き方を探るために。
首相自ら旗を振る働き方改革で解禁の検討が始まった。

終身雇用が当たり前の日本社会で、兼業や副業への風当たりは強かった。
本業をおろそかにしては元も子もなかろう、と。
だからこそ、投手と打者をこなす「二刀流」への挑戦が注目されるのかもしれない。
プロ野球日本ハムの大谷翔平選手である。

クライマックスシリーズ突破を決めた、おとといの試合には驚かされた。
DH(指名打者)から投手、大谷・・・。
アナウンスが響くと球場がどよめいた。
誰も想像しなかった交代だろう。
球速も日本球界最速の165㌔とあって再びどよめく。
まばたきしていては打つ間もない速さだ。

今シーズンは投げて10勝、打っては22本塁打。
漫画の中の話ではない。
もはや兼業ではなく投打とも本業と言えるレベルの活躍である。
周囲の二刀流への懐疑論や批判を力で封じ込めた。

週末からはマツダスタジアムで日本シリーズが始まる。
広島東洋カープには、異例の「復職」を果たしたベテラン2人がいる。
サラリーマンの働き方と重ねてみるのも一興だろう。




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司法判断にも時代と時流の変化、裁量と護憲の調和が試される [世相雑感]

審判.png

解散風が吹きだすと、ひとごとではない職種に最高裁の裁判官がある。
任官すると、次の衆院選で国民審査を受ける。
今までに罷免、つまり首になった例はゼロだが、いつにも増して居住まいを正しているに違いない。

15人の裁判官の写真や笑顔がホームページに載っている。
座右の銘や心構えに「公正」「誠」の字が目立つのは当然として、趣味の欄では落語ファンや推理小説好きを明かす。
「憲法の番人」も何か身近に思えてくる。

この判決を下したのは、どんな裁判官だろう。
私立学校の女性教論が旧姓使用を職場に求めた訴訟で、東京地裁は訴えを退けた。
旧姓を使うことの利益と広がりを認めながらも「社会に根付いたとまでは認められない」とした。

「女性活躍の時流に逆行する」との反発がある。
審理に当たる3人の地裁裁判官が皆、男性だったことで勘繰られている。
旧姓使用の定着を踏まえ、夫婦同姓を合憲とした昨年の最高裁判決とも、つじつまが合わない。

家族のありようが変わり、「正解」が一つとは限らない時代。
ある最高裁裁判官はこんな座右の銘を挙げる。
「人間は努力する限り迷うものだ」。
裁判官の迷う胸の内もさらけ出せないものか。




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タグ:国民審査
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タイ国の柱、国父と慕われ続けたプミポン国王逝く [訃報]

プミポン国王.png

十数年前タイ旅行の前に求めた三島由紀夫の「暁の寺」を久々に読み返す。
運河と仏塔の都、バンコクが妖しくも美しく小説に描かれる。
「メナムの対岸から射し初(そ)めた暁の光を、その百千(ももち)皿は百千の小さな鏡面になってすばやくとらえ」という一文に傍線を引いていた。

私も訪れたワット・アルン(暁の寺)の塔には、無数の陶器がちりばめられる。
小説の表現を借りれば、多くの仏塔は暁の光を最初に受け、夕日の反映を最後までとどめる。
日のある間にさまざまに色を変えるのだ。

プミポン国王の70年に及ぶ在位もまた、最後まで光をまとうものだったに違いない。
国父と慕う民が嘆く中、病没した。

兄の急死で戦後の混乱期に即位する。
時の首相の思惑で生まれた「タイ式民主主義」の象徴であり続けた。
自らの権威を背景に、政治対立を調停する国王の姿。
多くの日本人がニュースを見聞きして驚いたことだろう。

だが、ここ10年の危機では、神通力にも陰りが。
富める者、貧しい者の溝の広がりが大いに影響していよう。
調停役も代替わりするのだろう。
バンコクは地元ではクルン・テープ(天使の都)というそうだ。
争いがあっても、おおらかに鎮める国であれ。

ワット・アルンの夜景





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「歌手に文学賞!?」ボブ・ディラン音と言葉で思いを伝える [世相雑感]

ボブディラン.jpg

「プロになって音楽をやろうと思います」。
20歳の吉田拓郎さんは母親に置き手紙をして広島から東京に向かう。
若い頃家出をしたという異国のミュージシャンに自身を重ねたらしい。
田家秀樹さんの「小説吉田拓郎」の逸話。

誰あろうボブ・ディラン氏のことだ。
ノーベル文学賞への拓郎さんのコメントは当時の若者の代弁だろう。
「ボブ・ディランがいたから今日があるような気もする。多くのことがそこから始まったと僕は思うのだ」と。

代表作「風に吹かれて」の歌詞は斬新だったに違いない。
何回弾丸の雨が降れば武器が禁じられるのか、その答えは風に吹かれている・・・。
ベトナム戦争の頃、「正義」の答えが見つからない時代の空気をすくい取った。

「歌手に文学賞!?」という驚きは、まださめやらない。
だが思いを言葉に乗せていかに伝えるかが、文学の醍醐味なのかもしれない。
古代ギリシャで活躍していた吟遊詩人とも重ねたくなる。
受賞後初のコンサートを開いたが、受け止めはまだ伝わってこない。
これも権威には甘んじない彼のスタイルか。
いつもと変わらず、しゃがれ声でギターをかき鳴らし、また新たな誰かの背中を押すのだろう。






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歴史的悲劇「カティンの森」事件、朽ちぬ軍服のボタンの叫び [世相雑感]

カティンの森.jpg

私の次回作も「森」が舞台の作品だよ・・・。
広島の写真家荒木則行さんは亡きアンジェイ・ワイダ監督にそう告げられた。
芸北の森の写真をひっ提げ、ポーランドの古都クラクフで個展を開いた11年前の晩秋。
この豊かな森がヒロシマか・・・と驚いてもくれた。

映画の舞台の「森」はカティンだ。
先の大戦中、捕虜となったポーランド人将校らを旧ソ連秘密警察が虐殺した地である。
犠牲者2万人余りの中に監督の父親もいた。
その最期を目撃者の手紙で知るのは60年も後になる。

「森」の真相は冷戦時代には、ひた隠しにされてきた。
発掘されないまま朽ちた亡きがらもあったろう。

<ボタンがそこにあるのは証言するためだ>。
監督は自伝で祖国の詩人の作品を引く。
真相の一端を語るのは朽ちぬ軍服のボタンだけだと詩は例える。
監督の志を代弁すれば、映画がそこにあるのは代弁するためだ・・・。

「カティンの森」は荒木さんに告げた2年後に完成する。
おととし、首都ワルシャワで監督にお会いした人は「家族に関わる映画を作るのは私の義務だ」と答えたと聞く。
いずこの森も、晩秋は霧に煙って美しいだろう。
天下のワイダ監督は肩の荷をおろしているはずだ。




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地味だがスゴイ!日陰の文化遺産を日の当たる資産に、知恵を絞る [世相雑感]

堂々川6番砂留.jpg

「最も人気のない文化財。
地元からの自嘲めいた嘆きが、印象的だった。
先日、福山市神辺町であった「全国砂留(すなどめ)シンポジウム」のひとこまだ。
かつて各地の暴れ川に築かれた元祖、砂防ダムの保護や活用を論じ合った。

神辺の堂々川に残る16基の砂留は立派な文化遺産だろう。
現存する中では全国最古級。
最大の「6番」は堤の高さが13㍍、長さが56㍍と城の石垣をさらに巨大にしたような石積みだ。
そばに立つと、迫力に圧倒される。

流域の度重なる土石流に悩まされた福山藩が18世紀に造り始めた。
水害を乗り越えてきた先人の苦労と技術を伝えていよう。
この夏の豪雨でも水の流れを緩めた、という報告も聞いた。
今なお現役なのだから頼もしい。

市内には、ほかにも数十基が残るという。
なのに城や社寺などに比べ、何げない川の風景に埋もれて市民の知名度不足は否めない。
シンポに集まった長野や福井の人たちも同じ悩みらしい。

堂々川沿いには秋の里山を彩る彼岸花12万本が花を付けた。
春は桜やツツジ、夏は蛍・・・。
人を集め、少しでも砂留を知ってほしいと地域の人たちが手掛ける。
災害と向き合い続ける縁の下の力持ちの無言の声に、耳を傾けたい。




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天候不順に自然災害のダブルパンチ、野菜産地熊本の苦闘は続く [台風・災害]

熊本県.jpg

農家で「秋の一日、春の七日」という言葉を聞いたことがある。
秋の一日の作業の遅れは春の一週間分に当たるとの戒めである。
日は短くなり、ここ何日かで気温も下がった。
農作物には正念場の季節になった。

相次いだ台風と日照不足のダブルパンチで多くの野菜が高騰している。
広島市内の百貨店の食品売り場で驚いた。
レタスが1玉680円の値札をつけていた。
近所の青果店では姿も見かけなかった。
「買ってもらえる値段をつけられない」と店主。

春先の低温に日照り続きの猛暑。
盆明けからは台風が次々と列島を襲い、秋雨前線も居座って農産物が打撃を受けた。
海水温の上昇などが原因とされるが、これも地球温暖化の副産物なのだろうか。

とりわけ全国屈指の農業県・熊本が心配だ。
身近な野菜では、トマトやホウレンソウの産地がある。
ただでさえ熊本地震で被害を受け、天候不順に見舞われた上に今度は阿蘇・中岳の噴火が追い打ちを掛ける。
火山灰の影響が小さいことを祈りたい。

野菜の高値はしばらく続きそうで、鍋の季節に向けて家計を圧迫するのは避けられない。
自然に向き合う農家の苦労に思いをはせ、食の大切さを考える秋にしては。




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