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黒田引退最後の一球へ、人柄、謙虚・優しさ周囲魅了 [スポーツ]

 引退会見を終えた黒田は、イチローをはじめ、世話になった球団関係者らに電話やメールで報告した。
かつてコーチとして指導し、引退の一報に感涙したという広島OBには19日に連絡があった。
「家族を米国に残しながら、カープのために頑張ってくれた」とねぎらい、ありがとうの言葉を繰り返した。

黒田の周囲には年齢を問わず、こうしたファン的な視線の人が多い。
優しい人間性や謙虚な人柄などが好かれる。
その存在感の大きさから、ある現役コーチでさえ「コーチとして接する以外は、ただのファンだから」と笑う。

復帰2年目の今年は昨年以上に、後輩たちへ胸襟を開いた。
目線を合わせた助言が多いものの、時には本気で叱る。
2軍の試合をマツダスタジアムで観戦した際、球審の判定に不満そうな態度を見せた投手をとがめた。
ガムをかんで試合に臨んだ若手の行為は諭しながら、やめさせた。

いたずらや冗談も好む。
食事会に所用で遅れた友人の席には瓶ビールとおちょこを用意し、知らないふりをして乾杯、笑いをこらえて手酌させた。
20日はマツダスタジアムでの練習後、ドラフト会議の話題を振られ、「緊張してるよ。7位ぐらいで引っ掛かるかな」と笑わせる。

往年の名投手に多い唯我独尊のタイプではなく、義理堅い一面から「投手らしくない投手」とも言われる。
2006年オフの残留や14年12月の人生をかけた復帰劇はファンの存在を強く意識して決断。
ファンがカープを応援することに喜びを感じ、誇りを持ち、それが共有された今のブームを喜ぶ。

メジャーからの年俸20億円を提示を蹴った復帰で、金銭だけがプロの価値でないと知らしめ、引き際でも新たなスタイルを見せつけた。
22日からの日本シリーズでは勝つために先発する。
余興的な雰囲気は全くない球界最高峰での真剣勝負。
私欲を捨てた野球人生にふさわしい舞台で「最後の一球」を迎える。






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半世紀前の五輪に比べて今は?笑顔や夢、心の豊かさで [世相雑感]

1964TOKYO.jpg

「ライバルは、1964年」というACジャパンのCMが気になっている。
初の東京五輪が開かれた当時と比べて今の日本が負けていないか、と問う。
笑顔や夢、心の豊かさで。

前回の五輪は52年前のきょう開幕した。
終戦から19年。
戦争でぼろぼろになった国が立ち直り、復活をアピールする絶好の機会だった。
世界と伍(ご)していけると、多くの国民が自信と誇りを取り戻したに違いないだろう。

その五輪開催を記念し、開会日にちなんで制定された「体育の日」。
名称が、より裾野の広い「スポーツの日」へ変わりそうだ。
超党派の国会議員が検討を始めた。
国民の祝日では初のカタカナ名称となる。

4年後に迫る東京五輪へ機運を盛り上げる狙い。
体育とは文字通り身体を鍛える教育のこと。
遊びを根本に、自発的自主的に行うスポーツとは別物である。
単に名前を変えるだけでなく、豊かなスポーツ文化への理解を深める試みこそ大切だろう。

ただ開催準備へ目を向けると、眉をひそめるしかない。
費用が野放図に膨らみ、3兆円を超える可能性もあるとか。
これでは国民の理解は得られまい。
誰のための五輪なのか。
半世紀前のライバルから手掛かりを探りたい。




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「民間戦災障害者」援護運動家杉山千佐子さん逝く、河村たかし名古屋市長の師 [訃報]

杉山千佐子.png

名古屋城の天守閣を、昔ながらの木造で建て直すかのどうか。
目下、市議会の焦点らしい。
名物市長の河村たかし氏が推し進めるプロジェクトは慎重論も根強く、先行きはまだ見通せない。

大胆な言動で物議をかもす市長にも膝を打つ施策がある。
戦時下の空襲負傷者への見舞金を独自に支給する、全国でもまれな制度もその一つ。
市民のつらい記憶を刻むため、おととし「民間戦災傷害者の碑」も建立した。

そんな市長の背中を国会議員時代から押し続けたのが、先月101歳で旅立った杉山千佐子さんだ。
原爆以外の戦災救済が置き去りの戦後。
米軍の空襲で左目を失い、障害を抱えながら国の補償を求める組織を独力で立ち上げ、運動に生涯をかけた。

大きな眼帯に車いす。
その姿を広島でも見かけたことがある。
国の援護策を勝ち取るために「被爆者と戦災者が手をつなごう」と繰り返した訴えを、私たちはどこまで受け止めてきたか。

ノーベル平和賞はコロンビア大統領に決まった。
むろん大きな意義がある。
ただ本当の意味で平和のとりでを築けるのは、VIPではなく惨禍を肌で知る人たちの声であることも忘れまい。
きょう名古屋で杉山さんを送る会がある。




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タグ:杉山千佐子
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人間の悩みや欲望の縮図、言葉より感性「鳥獣人物戯画」 [世相雑感]

鳥獣人物戯画.jpg

ウサギを投げ飛ばすやカエルが雄たけびを上げる。
相撲や射的、宴に興じる動物たちの何と表情豊かなことか。
ご存じ、国宝「鳥獣人物戯画」である。
いつの世も変わらぬ人間の本性やおかしさがのぞき、引かれるのだろう。

絵巻は800年以上前の作という。
生き生きとした描写から「日本最古の漫画」とも言われる。
右から左へ時間や場面が移り、何やら楽し気な物語が繰り広げられる。
説明する詞書(ことばがき)はなく、見る側が自由に解釈できる。

だが絵巻の紙の特徴から絵の順番が入れ替わっていることが分かった。
後世へ伝えようと、傷みを直すうちに間違ったらしい。
元はどんな物語だったのだろう。
解明が進めば、新たな面白みが浮かび上がるかもしれない。

動物たちの愛らしい絵はクールジャパンと海外でもてはやされるアニメやマンガのご先祖か。
食器や文具にあしらわれ、フィギュアへ広がる。
戯画と戦国武将を合体させたアニメ放送も一部地域で。
若者も注目しそう。




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「やさしい日本語」がグローバル化のカギに、試みは始まる [世相雑感]

やさしい日本語.png

福岡県柳川市で掘割を巡る「川下り」を楽しんだことがある。
1時間余りのコースで岸辺の柳、なまこ壁の建物など水郷の風情を味わえた。
昔ながらのニッポンに触れたい外国人に評判という。

その柳川で緒に就いたのが「やさしい日本語ツーリズム」と題する試みだ。
観光のお得意様の台湾で学習熱が高いのを踏まえた。
不慣れな英語に四苦八苦するよりわかりやすい日本語でもてなしを・・・。
観光地としての付加価値を上げる狙いがあろう。

「いつ帰られれるんですか」よりは「いつ帰りますか」。
「駅ビル」は「駅のビル」。
勉強してきた人たちはちょっとした簡略化や丁寧な言葉遣いで随分、理解を助けられるようだ。
ノウハウを蓄積し、案内人が育てば「柳川モデル」とも呼ばれよう。

かつて海を越えてきた宣教師は漢字に仮名が交る複雑な日本語を「悪魔の言葉」と評したらしい。
現代の外国人にとっても同じだろう。
横浜市は、在住者向けに「やさしい日本語」による広報に取り組み始めている。

外国人の就労拡大の議論も本格化する。
言葉の気配りは私たちの日々の表現力を磨くチャンスなのかもしれない。
「やさしい」には、むろん優しいという意味もある。




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害獣も使い方で資源に、伝統文化継承の担い手になる [世相雑感]

根付.jpg

江戸時代のおしゃれに「根付(ねつけ)」があった。
たばこ入れや印籠などのひも先に結ぶ留め具のこと。
着物の帯に引っ掛ける。
ちょいとのぞく小物に凝るところが粋だったらしい。
携帯電話のストラップを思わせる。

花や動物、虫をかたどり細工を施した根付には、欧米の好事家も目を見張った。
今も美術品として人気で、「Netsuke」で通るという。
中でも珍重されたのが象牙製である。
物が極めてまれで加工もしやすく、その彫刻は微に入り細をうがつ。

象牙市場の閉鎖に向け、ワシントン条約締約国会議が決議した。
はびこる密猟や密輸で、アフリカゾウが絶滅の淵に立たされている。
動物園でもおなじみの動物が悲鳴を上げていると思えば、胸が締め付けられよう。

島根県西部は古くから根付の産地だった。
彩色豊かな「岩見根付」は誇るべき、小さな美の世界として、県立岩見美術館も収集に力を入れる。
創始者が出た江津市では作家が踏ん張り、伝統の美と技を受け継いでいる。

今は象牙より、むしろ猪の牙を使うと聞く。
田畑を食い荒らす獣は、なるほど地域資源でもある。
獣害対策を兼ね、猪の牙や鹿の角を工芸に生かす一石二鳥は、今風の粋といえる。




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カープ優勝の陰で逝った、元ミスターカープ追憶の涙 [訃報]

山本一義.jpg

10月なのに蒸し熱い。
広島の街にこもった熱も一因か。
カープ優勝を祝う特売は続き、花電車が走る。
熱気に水を差さぬようにと、往年の主砲山本一義さんが世を去ったことは伏せられていたという。
訃報にふと秋風を感じた。

低迷期の球団を支え、あの41年前の初優勝へと引っ張った。
当時、選手や監督らが歌い継いだ数え歌のレコードでは名調子で自らの歩みを披露している。
「とことんバットで生きてきた/カズさんホンマのいぶし銀」。

地元出身の強打者として鳴り物入りでプロ入りするも、すぐ壁にぶち当たった。
その時に長嶋、王ら天才の隠れた努力を知る。
バットを振り続けながら理想の打撃フォームを追い求めていく。
「学者肌」の選手はやがて、ミスターカープと呼ばれる。

美しい完成型のスイング。
初の日本シリーズで放った現役最後の本塁打はファンの語り草となる。
その野球哲学で、他球団からもコーチや監督に請われた。
古巣では山崎隆造さんらを鍛え、新井貴浩選手にも助言した。

教え子の活躍を病床で見守り、25年ぶりの優勝に目を潤ませたそうだ。
カズさんのために・・・。
日本一を目指して選手もファンも熱くなる理由が、また一つできた。




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目先より100年後の果実、ノーベル賞科学者の言葉に含蓄あり [世相雑感]

ノーベル賞.png

どうして人は、水だけで生きられるのか。
なぜ冬眠中の動物は健康を保てるのか。
実はオートファジーという、体内の機能が関係しているという。
生命を維持する根本的な仕組みを解明した大隅良典さんが、ことしのノーベル医学賞を受賞した。

日本人の受賞は3年連続、25人目の快挙である。
数年前から候補に挙がりながらも逃してきた。
以前は注目されなかった研究が、ようやく世界から高く評価されたことに、胸が熱くなる。

研究の底流には自身の苦闘の半生もあったに違いない。
大腸菌の研究を志したが芽が出ず酵母の分野に転じた。
昼夜、顕微鏡をのぞき続けた。
「人のやらないことをやる」。
自称「へそまがり」としての矜持(きょうじ)と努力、飽くなき探求心が花開いた。

「科学が役に立つ、という言葉が社会を駄目にしている」。
きのうの会見では短時間で成果を求める風潮に警鐘を鳴らした。
果実が実るのは100年後かもしれない。
そう認める文化こそ、私たちに求められていよう。

ノーベル賞週間初日のビッグニュースに列島は沸き立っている。
さて次は・・・。
世間の目をハッと覚ませ、未来のスイッチを切り替えるほどの吉報を待ちたい。




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「まちぶら」が賑わい創出の救世主、公共の乗り物利便がカギか [世相雑感]

まちぶら.png

病院の待合室でめくった雑誌の短歌欄に小膝を打ったのを覚えている。
<「歩歩歩の歩(ふふふのふ)」自作の格言歩の字には笑顔が見えるそう志す>。
ぶらりと散歩に出るだけで、なるほど気分まで弾んでくることがある。

人通りの多い岡山市の県庁通り周辺で「まちぶら」と呼ぶ社会実験が行われている。
自転車レーンを設け、クルマ優先のまちづくりから脱する道を探る。
コインパーキングの一つには週末、手作りパンの屋台が並んだ。

3年前に就任した大森雅夫市長の肝いりという。
公開対談の席でおととい、当の市長がぼやいていた。
同じ中国地方の県都で、やはり路面電車が走る広島との「差」が気にかかる、と。
通勤や通学にマイカーを使う割合が20ポイントほど、岡山市の方が高いそうだ。

クルマ依存は街のにぎわいにも響くからだろう。
早い話、「乗るなら飲むな」の鉄則がある。
ハンドルを握る相手には、帰りがけにちょっと一杯といった声など、はなから掛かるまい。

はやりの「都民ファースト」ならぬ「まち歩きファースト」に変わったかいわいには、手をつなぐ家族連れの姿が目に付いた。
通りすがりでそんな光景に行き合えば、こちらまで「歩歩歩の歩」となる。




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懐かしくもあり時代の遺物、活版印刷の本が郷愁を誘う [世相雑感]

活版印刷本.png

ことし生誕120年、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に印象的な場面がある。
貧しい少年ジョバンニが学校帰りに寄って働く印刷所。
原稿を渡されて「粟粒ぐらい」の活字を壁の棚から次々と拾い、日払いの銀貨を手にする。

鉛の活字を大小手作業で組み合わせ、印刷機にかける。
昭和の時代まで当たり前だった活版印刷の光景に、賢治は何を託したのか。
どんな刷り物も本も、土台となる苦労と汗あってこそ。
そう考えていたのかもしれない。

かの名作で、主人公と銀河を旅する友人がカムパネルラだ。
その名を冠した活版印刷体験の工房が尾道にあると聞き、立ち寄った。
自分と家族の名の活字をぎこちなく棚から拾い、箱に詰めて手押しの機械をガシャン。

仕上がったネームカードを恐る恐る見る。
手触りは温かい。
所々かすれたインキに微妙な凸凹・・・。
字体もレイアウトも電脳で苦もない今、昔ながらの活字を生かすオリジナル印刷物が各地でブームなのもうなずける。

熊本地震では、賢治が生まれた時代に創業した印刷所で膨大な活字が散乱し、棚に戻すボランティアが地道に続いたらしい。
読書の秋。
昔の苦労を知るため、古書店で活版印刷の本でも手にしようか。




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