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芸術の秋に想い直す、自己が無意識に作る心の境界線 [世相雑感]

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岡山市中心部の散歩がてら、現代アート鑑賞のはしごに誘う展覧会「岡山芸術交流2016」の来場者がおととい10万人を数えた。
広島東洋カープの粘り腰に沸いたこちらとは違い、すっかり芸術の秋らしい。

会場の一つに、新聞記事を額に入れた作品が見える。
身の回りの「境界」を探してきて・・・。
岡山市出身の美術家、下道基行さんが母校での特別授業で出したお題に、中2の後輩たちのつづった答案が活字になっている。

音楽好きの一人は「テレビ」を挙げ、いつか海面の向こう側で喝采を浴びる己の姿を夢見ている。
「自分の部屋の扉」と答えた少女がいる。
泣くのは必ず扉のこっち。
涙を拭い、居間に向かうという。
泣き顔を家族に見せたくないとは、心配させない気遣いか、14歳のプライドか。

下道さんはあちこちで同じ試みをしている。
よその教室への出入りを禁じる校則を「境界」と見立てた14歳もいる。
目に見えぬ壁。
「私の中にもできていってしまう気がします」と鋭い。

お使いや学校の生き帰りに寄り道して、境界線の向こうを垣間見る。
思春期の「地図」は恐らく、そうやって広げていくのだろう。
横町の角を曲がれば、別世界にいざなう扉が開く。




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笑って笑って笑って泣いた、カープよ今年もありがとう [スポーツ]

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野球好きだった俳人、水原秋桜子が一句詠んでいる。
「たぬき寝の負けナイターをきけるらし」。
思わしくい試合展開にふて寝し、背中でラジオを聞いている。
丸まった背がまた物悲しい。

日本シリーズまで続いた広島東洋カープ「劇場」がきのう、千秋楽となった。
一幕前のクライマックスシリーズをあれほど危なげなく勝ち抜いたのに・・・。
2連勝しての4連敗h、突き落とされた感が余計に深い。
背を丸めて、枕を抱いたコイ党もいよう。

負け犬の遠ぼえだから小声で言うが、富士山の初冠雪というニュースを耳にした週に夜の試合とは、何とも寒々しい。
「ナイター」はそもそも夏の季語である。
負け試合がデーゲームならまだしも、「泣いたー」になる。

春浅いキャンプインから「木枯らし1号」が近畿で吹いたこのうまでカープ、カープで明け暮れた。
こんな一年をあと何回、残りの人生で味わえることだろう。
この週末には約40年ぶりの優勝パレードまで控えている。

やはり秋桜子の句にある。
「ナイターや議論付きねど運尽きて」。
笑って最後に泣いたシーズン。
でも、旨酒とともに振り返り、黒田博樹投手の抜ける来季を語り合おう。
皆さん、お疲れさまでした。




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現代版「どこでもドア」開発、電車ホームの安全を高める切り札 [世相雑感]

ホームドア.jpg

ドラえもんがポケットから出す道具で、あったらいいなと思うランキングがある。
やはり1位は、「どこでもドア」だそうだ。
扉を開け、行きたいところに行ける。
あんな夢に、こんな夢が実現できそうな響きもいい。

そんなユニークなネーミングのドアがお目見えした。
駅のホームからの転落事故を防ぐため、線路との間に扉を設けるホームドアの新製品である。
ドアの数や位置の違うさまざまな車両に対応できることが特徴という。

従来のタイプは別の会社が乗り入れる線路では位置が合わず、導入が難しかった。
ところが三原市の会社が開発した新型ならセンサーで車両ドアの位置に応じて開閉できる。
今週から神奈川県内の駅で実証実験も始まった。

普及への期待は大きい。
視覚障害者が転落して、犠牲になる事故が後を絶たないからだ。
そういえば「歩きスマホ」も危ない。
ホームドアは徐々に増えてはきたものの、コスト負担は重い。
費用対効果を考えるためか、都市部の駅に偏る現実もある。

お手伝いしましょうか・・・。
ホームの一声で命拾いした視覚障害者も少なくないだろう。
安全装置を整備するだけでなく、「どこでも声掛け」の精神も胸に持っておきたい。




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100歳昭和天皇の末弟三笠宮さま逝去、旧軍を経験後平和を希求 [訃報]

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終戦70年の昨年に公開された映画「日本のいちばん長い日」は骨太な力作だった。
日本の無条件降伏までの内幕を陸軍大臣の阿南惟幾(あなみこれちか)を軸に描くが、省かれた史実もある。
玉音放送3日前、阿南が三笠宮様に会ったことだ。

殿下は陸軍に身を置いていた。
和平を望む昭和天皇を、徹底抗戦へ翻意させてほしいと願う阿南を強く叱責する。
その逝去は昭和史の舞台で重い役割を果たした証人を失うことでもある。

軍部不振は参謀として赴いた中国で「聖戦」の名の下の残虐行為を見聞きして芽生えたようだ。
平和な日本でオリエント研究に一方、戦争への反省を口にした。
戦後40年近くになっても「今もなお良心の呵責にたえない」と著書で吐露している。

専門分野を超え、発掘の竹ベラを自ら手にしたこともある。
国民と一緒に、偽りのない歴史を今度こそ残したい。
そんな願いに貫かれていたのかもしれない。

歴史研究はおのずと戦乱と向き合う。
平和とは戦争の休止期間・・・。
最後の著書では厳しい見方を示し、「その平和の期間を1年でも長く保つように、最大の努力を尽くさねばならない」と力を込めた。
重い言葉を今こそかみしめたい。




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ミイラ捕りがミイラになるの例え、大麻草の誘惑が危険 [世相雑感]

大麻草.png

昔からこの国に生えていた植物である。
繊維を使った服や袋もなじみ深い麻のこと。
だが別名の大麻と呼ぶと危うさを覚える。
しびれるの意が「麻」にある通り、葉などに幻覚を招く成分が。

産業用大麻も全国30ほどの業者しか栽培免許を持たない。
鳥取県智頭町に移住し、麻薬成分の少ない大麻草を栽培していた男が逮捕されたのには驚いた。
油などに加工し、町おこしを目指したが、ご法度の乾燥大麻を「吸うため」に持つていたという。

県と町で1千万円近く補助していた。
情熱に付け込まれた・・・。
免許を与えた知事が憤るのはもっともだ。
県境を越えた真庭市でも、産業用の栽培に意欲を見せていた地域おこし協力隊員が同じ容疑でお縄になった。
なぜ悪い考えが芽生えだすのか。

お上の取り締まり強化か、夏の参院選で医療用大麻の解禁を訴えた元俳優も所持で捕まった。
石垣島の自宅には吸引用のパイプなどもあったらしい。
末期ガンなどの痛みを和らげる効果ありというが、運動に水を差そう。

用途は多いとしても麻薬への「入り口」となる恐れもある。
危険ドラッグの規制強化で大麻に手を出す10代、20代が激増しているという。
若者の心を麻痺させてはならない。




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タグ:大麻
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想定外の非常事態時の避難誘導責任問題、司法判断の行方は今日 [世相雑感]

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震災の翌年の秋、東北を巡り、その校庭を見渡して足がすくんだ。
よそ者が踏み込んでいいのか自問する。
校名を刻む門柱は、亡き人を悼む献花台だった。
手向けられたヒマワリの黄色が悲しかった。

宮城県石巻市の大川小は高さ8.6㍍の津波に、児童・教師ら84人がのまれる。
だが、大きな揺れから惨事まで「空白の51分」があった。
津波が川をさかのぼる間に、どうして・・・。
遺族は無念の思いで日々を過ごした。

地元紙の河北新報が、その心境を伝えている。
長男健太郎君を失った男性は市や県を訴えて程なく、がんを宣告された。
「おっとう。仕方がなかったで終わらせないでくれ」という声なき声を支えに、きょうの判決を待つ。

学校が巨大津波を予見できたのかどうか、争われてきた。
なぜ児童たちを裏山に避難させなかったのか・・・と遺族はただし、市は倒木や山崩れの危険があった・・・と反論する。
判決がどうあれ、亡き人は帰ってこない。
しかし真実に迫ることができれば。

県内の中学校に勤務中、次女みずほさんを失い、今は大川小で語り部を続ける元教師は、「逃げろ」「死ぬな」と叫ぶ。
「空白の51分」は人ごとではない。
多くの命と向き合う裁判でもある。




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目力名優平幹二郎さん逝く、また一つの時代の終焉 [訃報]

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平幹二郎さんは俳優として目鼻もついていなかったころ、面接審査で主役を射止める。
「私をにらんで」「もっと」。
いきなりの求めに応じたところで「はい、合格」。
半端ではない目力だったのだろう。
思わぬ訃報に接した。

素顔は至って恥ずかしがり屋だったらしい。
広島市の小網町に生まれて、程なく父とは死別。
現在の府中市上下町にいた親類のもとに疎開し、被爆は免れたものの、孤独癖が習い性になったと、エッセイスト関容子さんのインタビューに答えている。

いきおい、一人で楽しめる映画を思春期に覚える。
お気に入りは、「悲恋」「オルフェ」など当時はやりのフランス映画や時代劇。
裏山の神社に行っては一人芝居でものまねをしていたという。

上京し、演技の土台を築いた劇団を離れ、劇団四季の舞台や映画、テレビ界へと活躍の場を広げる。
半世紀近く前の大河ドラマ「樅(もみ)の木は残った」の侍ぶりが忘れられない世代もいよう。

芸歴60年のことし5月、仲間で演出家の蜷川幸雄さんを見送っている。
落胆はさぞ深かったろう。
告別式で読んだ弔辞にはこんな一節が見える。
「ありがとう。さようならは言いません」。
私たちも、ほかに言葉が見つからない。




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夢よ再び!!大阪万博開催に官民の動き活発 [世相雑感]

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戦車部隊も置かれる高原の基地。
岡山県奈義町の陸上自衛隊日本原駐屯地を以前、訪問したことがある。
そこで教わったトリビアに「へえ」となった。
どこか欧風の広報資料館の壁に「MUNCHEN」とドイツ語の文字が。

何を隠そう、1970年の大阪万博のミュンヘン市館を移したもの。
来る西独での五輪のPRを兼ねた館だった。
高度成長に沸く日本を挙げた一大イベントの記憶を、少しばかり伝える。

万博の名物は太陽の塔だけではなかった。
とりどりの意匠の海外パビリオンは幾つも各地に引き取られる。
有効活用に加え、未来都市さながらの「夢の舞台」のわくわく感を惜しむ気持ちが官も民も強かったのだろう。

2025年の万博を大阪に誘致する動きが、地元の官民で活発化する。
東京五輪の次の一手にと国も乗り気だ。
かつて浪速の五輪を目指した人工島の夢洲(ゆめしま)を活用し、夢よ再び。
狙いは分かるが今や高揚感はどれほどか。

人類の健康や長寿が、今度のテーマらしい。
一方で、同じ場所でカジノ誘致が見え隠れするのは気になる。
まずは古き良き記憶として未来に語り継がれそうな構想を地元の望む。
46年前、大阪で胸を躍らせた子供の一人として。




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季節は巡り秋色一色に向かう、何をするのも今が一番 [世相雑感]

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栗ご飯が楽しみな時候になった。
庄原市では巨大マツタケが採れたという。
酒どころの東広島市西条町で仕込みが始まり、各地の庭園では松にコモが巻かれる。
毎朝めくる朝刊の紙面に秋の深まりを感じる。

きょう霜降。
朝晩、冷え込んできた。
中国山地から瀬戸内の島々、日本海沿岸まで、濃淡はあってもいよいよ秋色。
だが三次では何とソメイヨシノが70輪も開いたという。
暖かいのやら寒いのやら。
体調管理が難しい。

黄や紅、橙、緑・・・。
色づき異なる木立に白馬が憩う。
東山魁夷画伯の「森装う(習作)」を見た。
広島県立美術館の特別展には「彩林」「行く秋」など今を感じる作も多い。
信州の絵でも誰の心にも染みるのは、「国民的画家」と呼ばれた人ならでは。

描かれた秋を足元で見つけることもできる。
JR三江線に揺られて山あい谷あいを巡れば、作品「山渓秋色」「晩秋」に似た風景が、車窓に映るに違いない。
郷愁とともに、廃線となることえの寂しさも込み上げそう。

山間部では暦どうり、霜が降りる日もあるだろう。
鳥取の地震で被災した人々が気にかかる。
避難所で毛布にくるまり、不安を募らせているのではないか。
深まる秋が恨めしくもある。




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日本列島地震天災スパイラルに、鳥取県に飛び火 [台風・災害]

鳥取地震.png

携帯電話やテレビから緊急地震速報の不穏な音が鳴り響く。
今度はどこなのか。
同じ中国路の鳥取県、しかも震度6弱の揺れ・・・。
ショックを受けるとともに「またか」と感じた人も多かろう。

歴史的に見ても地震活動が活発な地。
16年前の鳥取県西部地震は記憶に新しい。
さらに昨秋から、不気味な揺れが続いていた。
今思えば予兆だったのか。
倉吉市の映像を見ると持ちこたえた建物も少なくないが、名所の白壁土蔵群などが傷を負った。

学校の校庭で立ちすくむ被災者には心細さがにじんでいた。
震度3や4の地震が絶えない中で、避難所で不安な夜を明かした住人もいたはずだ。
より大きい地震が襲ってきた4月の熊本地震のことをつい考えてしまう。

熊本では建物の中にいても安心できず、車中泊をする人も多かった。
被災地では何もなくても体が揺れているような気分になる「地震酔い」の症状を訴える人も現れるというから心配だ。

狭い空間は体調を崩しやすい。
避難中に命を落とした人も目立った過去の災害の教訓を今度こそ生かし、被害をできるだけ少なくするため知恵を絞りたい。
大地の揺れがもたらす、計り知れない不安に思いをはせながら。




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