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歴史的悲劇「カティンの森」事件、朽ちぬ軍服のボタンの叫び [世相雑感]

カティンの森.jpg

私の次回作も「森」が舞台の作品だよ・・・。
広島の写真家荒木則行さんは亡きアンジェイ・ワイダ監督にそう告げられた。
芸北の森の写真をひっ提げ、ポーランドの古都クラクフで個展を開いた11年前の晩秋。
この豊かな森がヒロシマか・・・と驚いてもくれた。

映画の舞台の「森」はカティンだ。
先の大戦中、捕虜となったポーランド人将校らを旧ソ連秘密警察が虐殺した地である。
犠牲者2万人余りの中に監督の父親もいた。
その最期を目撃者の手紙で知るのは60年も後になる。

「森」の真相は冷戦時代には、ひた隠しにされてきた。
発掘されないまま朽ちた亡きがらもあったろう。

<ボタンがそこにあるのは証言するためだ>。
監督は自伝で祖国の詩人の作品を引く。
真相の一端を語るのは朽ちぬ軍服のボタンだけだと詩は例える。
監督の志を代弁すれば、映画がそこにあるのは代弁するためだ・・・。

「カティンの森」は荒木さんに告げた2年後に完成する。
おととし、首都ワルシャワで監督にお会いした人は「家族に関わる映画を作るのは私の義務だ」と答えたと聞く。
いずこの森も、晩秋は霧に煙って美しいだろう。
天下のワイダ監督は肩の荷をおろしているはずだ。




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