進む山間部の過疎化、揺れる三江線廃線の行方 [世相雑感]
ネット競売に出品されたばかりの古びた切符が目に留まった。
岩見川本駅発、220円の硬券。
昭和50年8月31日の日付がある。
三江線が全線開通した日のものだ。
沿線の歓喜の列を思う。
秘蔵していたマニアが廃盤必至と聞き、手放そうと思ったか。
きのうJR西日本による最後通告は、確かに全国の「鉄ちゃん」にも衝撃だろう。
100㌔を超す鉄路の消滅は国鉄民営化後、本州では例がないからだ。
危機が表面化して1年。
三江線には「乗り鉄」がはせ参じ、乗客増に貢献したらしい。
地上20㍍、高架橋上にホームがある宇都井(うずい)駅の光景も珍しいと評判が高まる。
ただ巨額の赤字をはね返すには焼け石に水だったのか。
ここに至る逆風は時代の流れともいえよう。
沿線でどんどん人が減る上に「一家に2台、3台」のマイカー。
乗らずして存続もない。
かの天空の駅を、車で見に行ったわが身を思い返す。
全通に際し、元祖鉄っちゃんの作家宮脇俊三氏が岡山から浜田まで在来線を走る急行を提案したことがある。
廃線になるとしても少し時間があろう。
陰陽を結ぶ鉄路が最後まで輝きを放つようアイデアを出し合えないか。
同じく廃線に揺れるローカル線仲間も交えて。
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「異常が続けば常識に」災害常識も想定規模も超えてくる [台風・災害]
いつもと違うことが、こんなに重なるとは・・・。
台風10号である。
日本近海での発生も珍しく、いったん沖縄の方へと向かったのにUターンしたのも奇妙だ。
しかも東北地方の太平洋側に上陸したのは、観測史上初めてのこと。
大雨で泥の海となった、北海道や東北の町の姿に驚く。
岩手県岩泉町のグループフォームでは、お年寄り9人が命を奪われた。
近くの川が氾濫して水が流れ込み、逃げられなかったようだ。
惨事をなぜ防げなかったのか。
避難指示は出ておらず、地元の町長は「残念ながら油断していた」と無念さをにじませた。
これまでの「常識」は通用しない、ということだろう。
異常気象もそれが続けば、もう異常ととはいえない。
東日本大震災の後に出版された絵本「逃げましょう」を読み返した。
地震や豪雨の際の避難のタイミングを、やさしく具体的にひもとく。
そして繰り返し呼びかける。
「にげましょう」。
巻頭の言葉「逃げることは生きること」が胸に響く。
著者で災害研究で知られる河田恵昭さんは「想定外」は言い訳にならないと、もどかしさを募らせる。
もっと積極的に身を守ろうと。
きょう防災の日。
過信と向き合う姿勢を取り戻さなければ。
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