今日は71年目の終戦記念日、遺族には慟哭の夏の一日となる [世相雑感]
正座して、白木の箱をそっと開ける。
中には、名前の書かれた紙切れが1枚だけ。
戦没者遺族の悲しみを身内から聞いたことがある。
無謀な戦争に駆り出され、遺骨さえ返してもらえないとは。
南方ニューギニア戦線に向かう途中、乗っていた船が撃沈sれたという。
冷たく暗い海の底で、今も眠っているのだろう。
大戦末期には、こうした「軽き箱」が無数に届けられた。
わが身の周りだけでなく、他でも耳にした。
遺髪や爪ならまだしも戦地の砂や石、仮の位牌の入った箱を受け取った人もいたという。
71年たっても心の奥底で「戦後」を迎えられないでいる。
古里で安らかに眠らせてあげたい・・・。
誰しもが抱く率直な願いだろう。
今春、国の責務として遺骨を収集する法律がようやく施行された。
戦地に取り残されたままの骨は113万人分にも上る。
相手の国の協力を取り付けて発掘し、DNA鑑定にかける。
遺族の老いも考えれば一刻も早く。
今日は終戦の日である。
戦前から戦後の世相を映す短歌を集めた「昭和万葉集」から一首引く。
箱一つ還りきたりて亡き人を思えとならしその軽き箱(山本道子)。
このような悲しい歌が、もう二度と詠まれないように。
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