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「人間は、いったい何をしているのか」二度と同じ過ちを起こすなかれ [世相雑感]

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 長崎原爆被害者.png

選挙さなかに凶弾に倒れた前長崎市長の伊藤一長さんも泉下で驚き、そして思い出しているかもしれない。
1995年にオランダ・ハーグの国際司法裁判所で自身が証言した日のことを。

「この子供たちに何の罪があるのでしょうか」。
そう訴えながら掲げたのは黒焦げになった少年の写真。
裁判官は息をのみ、すすり泣いた。
核兵器の使用は「一般的に違法」とする勧告を導いた写真の少年の身元が、まさか今になってわかるとは。

当時13歳、旧制中学1年生だった谷崎昭治さんの可能性が高いという。
「兄に似ている」と申し出たのは妹2人。
昨年夏、長崎の原爆写真展を訪れ、大きく引き伸ばされた写真を間近で見て初めて気づいた。
「あっ、治(じっ)ちゃんだ」。

70年の歳月を経てもなお、ともに遊んだ頃の呼び名が口をつく。
そんな妹たちは、法医学の専門家の鑑定結果が分かる前から、心に決めていたという。
兄だと信じようね、と。
今までずっと、探し続けてきたのだから。

一枚の写真がもたらす力の大きさと、積み重なった悲しみを思う。
伊藤さんが亡くなる前年の8月9日に読み上げた長崎平和宣言が胸にこだまする。
「人間は、いったい何をしているのか」


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