ボクシング元世界王者ムハマド・アリ氏死去、人種差別と闘った生涯に幕 [世相雑感]
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脳裏にカシアス・クレイの名がよみがえる。
テレビのボクシング中継がお茶の間を席巻した時代だ。
イスラム教に帰依して、その本名をムハマド・アリと改めたことも元世界王者の闘いだった。
きのう悲報を聞く。
「チョウのように舞い、ハチのように刺す」と公言し、スピード感のある攻めを身上とした。
「だから私の姿は見えない。見えない相手を打てるわけがない」と豪語した。
勝ち続けても、ほら吹きと思われたゆえんだ。
だが、ベトナム戦争のさなか、王座剥奪を覚悟で徴兵を拒否して世界を驚かせた。
「いかなる理由があろうと人殺しには加担できない」。
私が畏(おそ)れるのは神の法だけだから・・・。
人種差別と闘い、情報機関に電話を盗聴されていた。
老後は静かに送っていたが、近年の祖国の世情にはいらだちも。
あのトランプ氏がイスラム教徒の入国禁止を唱えたことに、怒りの声明を発した。
大統領選の行方を見定められなかったことを、きっと悔やんでいよう。
日本武道館でアントニオ猪木氏と「格闘技世界一」を競って、今月で40年になる。
武器を用いない格闘技は平和とともにありたい。
混迷する世界に、これからも見えないジャブを効かせてくれ。
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