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「焼け跡闇市派」野坂昭如さん逝く、無頼を気取った多彩な人だった [訃報]

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空襲で焼け出された兄妹は励ましあい、生きようとした。
だがひもじさの中で相次ぎ息絶える。
「火垂るの墓」はアニメも不朽の名作となった。
だが作家の体験は少し異なる。
妹は飢えで死んでしまうが、自分は生き延びた。

神戸の空襲が「焼け跡闇市派」野坂昭如さんの原点という。
何とか手に入れた食べ物を、1歳の妹の分まで口にした。
己の生への執着を知る。
「戦争童話集」など作品に弱者の悲しみをつづるのは、胸のつかえからか。

作詞に歌手まで多彩な顔を見せた。
無頼を気どり、型破りな言動で世を騒がせもしたが、心の中にはいつも焼け跡が広がっていたに違いない。
二度と飢えた子供の顔を見たくない・・・。
そう訴えて参院選挙にも立った。

脳梗塞を患っても口述筆記で気を吐く。
死を目前に、永六輔さんのラジオ番組にこう寄せた。
物騒な世の中になったとして「平和とやらを守るという名目で、軍事国家、つまり戦争する事にだってなりかねない」。

この夏に新装なった戦争童話集のあとがきでも警告していた。
「戦争は、気が付いた時には、すでに始まっているものだ」と。
それを肌で知る人の旅立ちが、このところ相次ぐ。
心細くてならない。


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