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ナショナリズムかグローバリズムか、世界構造の骨格が揺れる [世相雑感]

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直木賞作家の西加奈子さんの最新作「i」は、シリア生まれの少女アイが主人公。
彼女は世界で起きた大災害やテロによる死者の数をノートに書き留めずにはいられない。

米国人の父と日本人の母の養子で、日本で暮らす。
しかしアイは「どうして自分だったのだろう」と恵まれた境遇への罪悪感を振り払えない。
養子になれなかった祖国の子供たちにも、遠い国での悲劇にも思いをはせる。
痛々しいまでの想像力で。

物語には実際のニュースが登場する。
9.11テロや福島の原発事故。
世の厳しさに揺れるアイは、今の米国の現実にも当惑するに違いない。
トランプ米大統領が空港まで築いた「国境の壁」に、内外の混乱は広がるばかりだ。

全ての難民と、シリアなどイスラム圏7か国市民の入国禁止は、どう考えても人権侵害だろう。
自由と平等をうたってきた「移民の大国」はどこに。
デモは厳しさを増し、提訴も相次ぐ。
新リーダーの顔色をうかがっていた米企業も反発し始めた。

小説の題名には、困難な世に向き合う「I(私)」の意味もにじむ。
私たちの国の政府も抗議すべきだ。
他者への想像力を欠く米国ファーストは、民主主義を壊してしまうと。




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