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のどかな童謡の中に時代の悲哀を映す、夕焼け小焼けーの赤とんぼ、、、 [世相雑感]

民法改正.png

口ずさむたび、美しい夕景が目に浮かぶ。
童謡の「赤とんぼ」。
詞を書いた三木露風が遠い日、子守の少女の小さな背に負われて見た光景だという。
だが3番の歌詞は切なくなる。
「15で姐(ねえ)やは嫁に行き」

露風の幼少期は珍しくなかったのだろう。
明治の旧民法では女性は15歳で結婚できた。
早いと驚く人もいようが、今も16歳以上である。
片や男性は18歳以上。
差別的と国連に批判されてきたことはそう知られていない。

女性の発達は早い・・・。
そんな理由で戦後も2歳の差が残った。
民法改正で成人年齢を引き下げるに当たり、ようやく18歳に統一される流れに。
男女平等はむろん女性活躍がうたわれる世である。
遅すぎたと言われても仕方がない。

中には少子化なのに大丈夫かと懸念の声もあるらしい。
1歳でも早く結婚した方が子供を多く生めるという理屈なら、それこそが女性を結婚から遠ざける一因ではないか。
16、17歳の結婚も約1400人と多くない。

童謡は続く。
お里の便りも絶え果てた、と。
露風のまぶたの姐やはその後、どうなったのだろう。
息の詰まる時代でも、とんぼのようにすいすい舞った女性であってほしい。
口ずさむたびに思う。




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節分の豆知識、時代の闇を払う趣旨は変わらない [日記・雑感]

節分.png

民放のバラエティーで一つ勉強をした。
渡辺の姓の人は、節分の豆をまかなくていい。
そんな言い伝えがあるそうだ。
平安時代、都で鬼の腕を切り落とした渡辺綱(わたなべのつな)を後世の鬼も恐れるからだと。

「鬼は外」が平安京の闇と深く関わる歴史を思い起こさせる。
もとは宮中で大晦日に営まれた儀式。
四つ目の面をかぶった鬼やらいの役が盾と矛を打ち合わせ、魔を追い払う・・・。
限られた神社で受け継がれる姿が節分の営みとして広まったらしい。

次第に前向きな意味も備わったのだろう。
民俗学者の折口信夫は節分の世の高揚感を「冬が行き詰まって、春が鼻の先まで来ている」と言い表している。
季節の変わり目に健康を気遣い、立春を迎える。
その実感が現代に薄れたのは仕方ないのだが。

ことしは無病息災を願ってかぶりつく「恵方巻き」の商戦がさらに過熱している。
マグロにイクラ、ズワイガニなど豪華具材はバブル期を思わせる。
家族で豆を投げる節分もいい。

いにしえの闇は消えても矛盾だらけの世に鬼はいくらでもいる。
かの国の大統領に豆をぶつけたい向きもあろう。
暦どうり、昼間の日差しには春の訪れを少し感じ始めた。
世界全体の健康長寿を切に願う。




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甦れ東芝!!かつて時代を動かした開発魂で!! [世相雑感]

 東芝の危機.png

一説によると、かつて日本企業では契約書の作成コストが欧米の3倍かかったという。
アルファベット26文字に対し、漢字は数えきれないほど。
数少ない和文タイピストに頼るしかなかった。

高度成長期はその前に連日の順番待ち。
誤字は打ち直しで、大変な手間を取っていた。
その光景を変えたのが1978年、東芝が最初に発表した日本語ワープロだろう。
キーボードをたたけばだれでも簡単に。
ものづくり企業の輝きを見せたといえる。

ワープロに次いでノートパソコンも世に送り出した東芝の青梅事業所が不動産会社に売却され、この春閉鎖する。
不正会計などで会社自体が存亡の危機にあり、ほかにも虎の子の半導体事業まで分社化することに。

分かれ道は2006年の米原発メーカーの買収だったのだろう。
その5年後に福島で手掛けた原発で事故が起き、業績が低迷する。
原発事業の巨額損失が屋台骨を揺るがした。
契約のみ通しが甘かったのは、明らかだ。

眼光紙背に徹す・・・。
格言は物事の裏を見抜く力を解く。
福島で廃炉作業を担う東芝は燃料デブリ発見の重責を負うロボットも動かす。
単なるビジネスではない。
時代を動かした企業の意地と輝きを今こそ。




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タグ:東芝の危機
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ナショナリズムかグローバリズムか、世界構造の骨格が揺れる [世相雑感]

ナショナリズム台頭.jpg

直木賞作家の西加奈子さんの最新作「i」は、シリア生まれの少女アイが主人公。
彼女は世界で起きた大災害やテロによる死者の数をノートに書き留めずにはいられない。

米国人の父と日本人の母の養子で、日本で暮らす。
しかしアイは「どうして自分だったのだろう」と恵まれた境遇への罪悪感を振り払えない。
養子になれなかった祖国の子供たちにも、遠い国での悲劇にも思いをはせる。
痛々しいまでの想像力で。

物語には実際のニュースが登場する。
9.11テロや福島の原発事故。
世の厳しさに揺れるアイは、今の米国の現実にも当惑するに違いない。
トランプ米大統領が空港まで築いた「国境の壁」に、内外の混乱は広がるばかりだ。

全ての難民と、シリアなどイスラム圏7か国市民の入国禁止は、どう考えても人権侵害だろう。
自由と平等をうたってきた「移民の大国」はどこに。
デモは厳しさを増し、提訴も相次ぐ。
新リーダーの顔色をうかがっていた米企業も反発し始めた。

小説の題名には、困難な世に向き合う「I(私)」の意味もにじむ。
私たちの国の政府も抗議すべきだ。
他者への想像力を欠く米国ファーストは、民主主義を壊してしまうと。




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