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人に思いを伝えるには、できるだけ少人数で至近距離ならなお良し [世相雑感]

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もう35年も前になる。
永六輔さんは引く手あまたの中から当時の広島県総領町を講演先に選ぶ。
過疎を逆手に取るまちづくりが意を得たらしい。
ただ注文を付けた。
「入場料は投げ銭」はまだしも、「100人以上集めちゃいけない」とくぎを刺す。

千人集めて1回やるより100人で10回の方が文化は根付く、と。
「千分の1なら反っくり返って聞くだけだが、顔が見える100分の1ならそうはいきませんから」。
逆手塾の和田芳治会長は永さんの哲学をしのぶ。

海の向こうでも、通じる思いはあるようだ。
ノーベル文学賞の歌手ボブ・ディランさんが書いた受賞スピーチ文の一節にある。
5万人を前に演奏するより、50人の前に立つ方がなお難しい…。
カリスマとは思えぬ生真面目さである。

英語で文化を意味する「カルチャー」の語源は「耕す」と聞く。
詩とメロディーというくわを振るって、一人一人の心を耕す。
ディランさんの姿は、ひからびた大地や心根に水をやる農家や教育者にもどこか似ている。

授賞式を欠席したディランさんに代わり、友人のパティ・スミスさんが歌った。
途中で詰まったが、あれも「50人」の難しさを印象付ける演出のうちだったか。




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