加害国家が互いの攻撃地を慰霊、わだかまりを超えて・・・ [世相雑感]
その鶴は、キャラメルの包み紙で折ってある。
高さ2センチにも満たない。
被爆し、白血病のため12歳で逝った佐々木禎子さんが残した1羽。
米ハワイ真珠湾のビジターセンターに遺族が3年前に寄贈し、12・7を伝える展示の片隅に。
あれから75年。
日本の奇襲攻撃を忘れまいとする場に、なぜ折鶴を置くのだろう。
ノーモア・ヒロシマと言われると、リメンバー・パールハーバーと返す。
遺恨は消えなくても、乗り越える何かが育ちつつあるのか。
原爆を落とした国の大統領が自ら折った鶴を携え、被爆地を訪れたのは5月のこと。
返礼ではないとしながらも年の暮れ、日本の首相が初めて真珠湾で慰霊する。
サダコの鶴のようにさりげなく受け入れられればいいが。
むろん二つの国の政治的思惑によるパフォーマンスという見方もできる。
一方で大統領の母校、ハワイのプナホウ学園からは歓迎する声もある。
真珠湾のセンターで鶴の折り方を教える活動を続けてきた高校生たちだ。
日本人を含め、さまざまな国から訪れる人の表情に身近に接し、わだかまりを解く可能性を感じているのかもしれない。
日米のリーダーこそ小さな折り鶴の前に立ち、目を凝らしてほしい。
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タグ:真珠湾慰霊