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伝統の日本美は、大事に大事に守られて歴史をつなぐ [世相雑感]

船木氏庭園.jpg

冷たい雨に打たれたのか、広島市の平和大通りではきのう、緑地帯にイチョウの落ち葉が目立った。
ケヤキの葉のくすんだ赤に交じると、そこだけ光が差し込んだように映る。
樹上の秋は地面に移りつつある。

先日も三原市で、雨天ならではの足元の眼福にあずかった。
公民館の地元学講座に加わり、訪ねたのが江戸時代に豪商の別邸だった船木氏庭園。
こけむす地面の、何と美しかったこと。
無数の小さな露が光をはじく。
粒立つような緑は、目に染みた。

住んでいるご一家は雑草ひとつ抜くにもピンセットを用い、コケを痛めぬよう心がけてきたという。
とはいえ庭の広さは2千平方メートル近い。
地元住民の「愛する会」が月に一度、庭掃除を手伝っている。
そのかいあって5年前、広島県内で初めての国の登録記念物となった。

三原の山野河海に見立てた築山や石などは風趣に富み、「三原縮景園」とも呼ばれてきた。
12月4日、5年ぶりに一般公開されるのは朗報だろう。
昨今では、コケを踏まぬよう飛び石伝いに見て回るルールを守れぬ人もいて、とびとびの公開が続く。

来年は、三原城築城から450年。
地味でもきらりと光る、足元の宝に目が向く年になればいい。




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