木製オビジェで命を奪われる、想定外か一瞬で燃えることは [事件事故]
せき払いする人がちまたで目立つ。
<さいちがごほうぎのかぜをひいた/ねんぶつのせきがでるでる>。
仏法の教えに触れたら、せきをするように念仏が自然に口をつくものだ・・・。
幕末の石見国に生まれたげた職人、浅原才市の詩である。
翁は晩年、かんなくずに字を書き付けた。
大工の父親を持つ作家水上勉はこの話に感じ入り、桐からシュルシュル削り出させれる美しさが創作の源では、と想像した。
そういう自分は、かんなくずの海で泳ぐまねをしたと懐かしむ。
5歳の佐伯健仁ちゃんも、木のオブジェで無邪気に遊んでいたのだろう。
その日常が暗転した東京・明治神宮外苑の惨事。
助け出そうとしたが、火の回りはあまりにも早くて。
火元はオブジェに絡めた「木くず」らしい。
アートに生かした発想は悪くないにせよ、恐らくは紙のように薄い木片の山である。
近くで白熱電球を照らせばどうなるか、製作した工業大生なら知っていておかしくないと思うのだが。
健仁ちゃんは、分からないことをほかの子に教える優しい子だったという。
木くずの遊びを見つけて一瞬、喜んだかもしれない。
残された家族の、命を削られるような苦悩の日々を思うと言葉もない。
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