SSブログ

歴史のターニングポイントを握る、キーワードは長州から山口へ [世相雑感]

旧山口県庁舎.jpg

なるほど上空から眺めると、輪郭が山口と読める。
現在の山口県庁舎の敷地内にある二つの建物である。
旧庁舎が「口」で、東隣の旧県会議事堂は「山」。
後者には「山口」をあしらったレリーフがあり、遊び心も感じる。

1916年7月に旧庁舎と議事堂が完成し、ことし100周年。
れんが造り2階建てでルネサンス様式を基調とし、和洋折衷の独創的なデザインである。
細部に至るまで語り尽くせぬ試みがされ、32年前に国重要文化財に指定されたのもうなずける。

ただ順風ばかりではなかったようだ。
そもそも幕末、長州藩庁が萩から現在地に移されたことにさかのぼる。
その後、旧庁舎の創建時には県庁の移転論があり、戦後の70年代になると現庁舎の新築で解体も危ぶまれた。

危機を脱したのは何より住民の声が大きい。
保存運動が実を結んだ。
今も県政資料館としての役割を担い、現役の事務室として使われることもあるという。

幕末から平成まで五つの時代、政治の中心を担った地。
象徴の建物に刻まれた「山口」により重みを感じる。
演奏会など多くのイベントの舞台となり、結婚の記念撮影も人気だ。
保全と活用に、住民の力はこれからも欠かせない。




スポンサードリンク



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

映画の聖地に世界のミフネ、殿堂入り記念プレート設置される [芸能・ゴシップ]

世界のミフネ.jpg

<男は黙ってサッポロビール>。
そう言って、ジョッキを空ける中高年を今も見掛ける。
三船敏郎が四十数年前に出たCMである。
喜怒哀楽を腹に落とし込む武骨な日本人を銀幕でも演じきった。

「用心棒」「七人の侍」などの名作は米ハリウッドにも影響を与えたようだ。
映画の聖地にある、人呼んで「名声の歩道」に世界のミフネの殿堂入りを祝うプレートが置かれた。
没後19年、2594番目の栄誉は、功績からすれば遅すぎたぐらいだ。

若き日に戦地で空撮に携わった。
何百枚のカットをつなぎ合わせ、「細かい作業に神経が走る」ようになったという。
殺陣では実践さながらに二の太刀を浴びせるなどリアリティーを求めた。

斬られりゃ痛えぞー。「用心棒」で演じた無類の刺客の名せりふだ。
迫真ぶりに加え、ユーモアと同居する人情味が本場でも受け入れられたのだろう。
外国版リメークの西部劇のヒットも殿堂入りを後押ししたはずだ。

同じ歩道にはテレビ司会者時代の人気から、あの次期大統領のプレートもあった。
先月、心ない反対派に砕かれたらしい。
頼もしい用心棒どころか「トランプ砦の悪人」を出さぬよう。
砦でくすぶる内紛の火種が気になる。




スポンサードリンク



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

超スピード復旧は炭鉱で培った技術、博多駅前大陥没事故 [事件事故]

博多駅前大陥没.jpg

道路が地中へ陥没したショッキングな事故から1週間。
JR博多駅前の通りに開いた大きな穴が早くも埋まった。
復旧には何ヶ月要するかと思いきや、きのうから現場の上を車や人が何事もなかったかのように行き交う。

「一分一秒でも早く」。
福岡市長のげきに、工事を担うゼネコンなども汚名返上をと急いだのだろう。
固まりやすい特殊な土を流し込む工法が奏功した。
夜を徹しての「復旧力」には、ネット上で海外から称賛の声も。

スピード完了の裏に地の利がある。
炭鉱の多い福岡は「穴」へのノウハウを培ってきた地だ。
復旧に携わった地元の業者は、何度も炭鉱の地表崩落で同じ土を提供してきたという。
現場の状況もそっくりだったらしい。

とはいえ一件落着ではない。
道路陥没は毎年、全国で4千件起きる。
下水道管の老朽化に加え、都会では地下鉄が地盤を緩ませ、空洞を生む。
穴のリスクは至る所に潜んでいる。
そこに大地震でも起きればどうなろう。

「元の地盤より30倍強い」と市長は自賛したが、責任論も含めて施工業者との原因究明はこれからだ。
足元埋まればもろさ忘れる、では困る。
ぽっかり開いた地下空間への不安は、穴埋めできるか。




スポンサードリンク



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

再び龍馬ブームの予感、歴史の陰の苦悩、汗や血を流した偉人たち [世相雑感]

薩長同盟.jpg

新発見という歴史の舞台を京都の街に訪ねた。
各所旧跡から少し離れたありふれた住宅地。
幕末の1866年に薩長同盟が結ばれた邸宅跡だと、市井の歴史研究家が文献で突き止めた。
ここで時代が動いたのかと感慨に浸る。

西郷隆盛と桂小五郎。
犬猿の仲だった薩長の両雄を取り持ち、盟約へ導いたのが坂本龍馬だ。
きょうは旧暦でいう命日になる。
維新を前に命を落として150年の来年に向け、博物館で大々的な回顧展が始まっている。

日本を今一度せんたくいたし・・・。
有名な言葉を残す手紙もさることながら、古里土佐のめいに宛てたものが目を引く。
あばた面をからかった上に「おまえは性格が悪いから男が逃げ出す」と悪口のオンパレードである。

ドラマに出てくるフェミニスト龍馬と逆の手紙には理由がある。
まさに薩長が手を結ぶ前夜に書かれ、進まぬ交渉のストレスを身内にぶつけた節があるらしい。
今の感覚なら理解し難いが、これも等身大の悩める姿が。

再びの龍馬ブームは目前にある。
おなじみの英雄たちの定番の物語だけで激動の時代は語りきれまい。
歴史の陰の苦悩、汗や血を流した名もなき人たち。
突き止めて光を当てたいものは尽きない。




スポンサードリンク



nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

和式より洋式、足腰も様式化に慣れる日本人 [世相雑感]

トイレ事情.png

催してふと目覚める。
迷った末、意を決して布団を出る。
「秋の夜の厠に立てば冷えきりて温もる迄に暇のかかりて」。
そんな夜が増えてくる季節。
熊本に住む91歳の男性が詠んだ一首をネットに見つけ、うなずく。

温かい便座が待つ洋式トイレも最近は多かろう。
それでも夜寒の厠では、血管がぎゅっと縮み、心臓発作や脳卒中の恐れが高まる。
和式でしゃがみ込む動作も危ないという。
おっくうで、我慢を決め込む人もあるはず。

全国の公立小中学校では和式トイレが57%を占める。
洋式トイレ育ちの子どもから「使いづらい」との声は多いが、ない袖は振れず改修は行き詰る。
山口県は和式が4分の3近くで最も高い。
島根や広島でも約7割に上る。

こうしたトイレ事情は文部科学省が今春、ようやく調査した。
熊本地震で学校に身を寄せたお年寄りから洋式化の要望が上がったため、重い腰を上げたらしい。
和式になじんできた世代でも、さすがにつらいのだろう。

学校で用を足さぬ子が多いのは、和式への抵抗もあろう。
一方、しゃがむ方が足腰は強くなると「和式のすすめ」を唱える人も。
だが、災害時を考えれば、校舎の耐震化ともども流してしまえる話ではない。




スポンサードリンク



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

しまなみ海道のシンボル、時代遺産尾道駅がリニューアルに [世相雑感]

尾道駅.png

時々利用しているのに気づかなかった。
JR尾道駅の駅舎の魅力に。
古い建物に詳しい1級建築士の渡辺義孝さんが教えてくれた。
付け足されたひさしに本体が隠され、駅から離れてよく観察しないと分からないのだ、と。

駅を見ながら後ずさりする。
確かに赤い屋根が姿を現し、両端の三角の部分はモダンな意匠である。
外国製のレールを柱に使うなど知られざる見どころが、ほかにもたくさんあるという。

今の洋館風になったのは、昭和の初めらしい。
大林宣彦監督の映画のロケ地にもなった駅が、ついに建て替えられる。
しまなみ街道を走るサイクリストも増える中、瀬戸内観光の新拠点として。
近く仮駅舎の工事に入り、来春からは解体の運びとか。

老朽化した駅のリニューアルが各地で進む。
尾道の新駅も眺望デッキに宿泊施設を備え、利便性は増す。
ただ市民に惜しむ声もあり、先頃さよならイベントが相次いだ。
古き良き昭和の薫りへの郷愁なのかもしれない。

一連のイベントに関わった渡辺さんから別の鑑賞ポイントも教わった。
背後の千光寺山の斜面には、駅舎とよく似た戦前の洋館が点在する。
両方が織りなすハーモニーを今のうちに味わっておきたい。




スポンサードリンク



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

国家は国民の意思で動く、修正しながら正義に向かう [世相雑感]

米国新大統領.png

米大統領選から一夜明けたきのうも「トランプ・ショック」は収まらない。
前日に千円近く下がった株価が、今度はまた千円上がる。
多くの人やメディアが読み違えていたようだ。

格差の広がる米社会で、取り残された人々の怒りはどれだけ大きいのか。
米国で今年6月に出版され、静かなベストセラーとなった「ヒルビリー・エレジー」は、白人労働者階級のエレジー(悲哀)を鮮やかに描く。

米国在住のエッセイスト渡辺由佳里さんが、自身のサイトで本を紹介している。
著者の古里は、オハイオ州の寂れた鉄鋼の町。
貧困や暴力、薬物にまみれて育った半生をつづる。
隣人である「ヒルビリー(田舎で暮らす人の蔑称)」は、そこから抜け出すすべを知らない。

渡辺さんは、「トランプ氏の支持者とまったく同じ人々」とみる。
悪いのは君たちじゃない・・・。
自分たちをばかにせず、味方になってくれる人を待っていたことを誰も読めなかったのか。

日本の政府も与党も、上に同じだろう。
きのう衆院本会議で環太平洋連携協定(TPP)承認案などを可決したものの、肝心のトランプ氏はTPPに大反対。
新たな流れに取り残されそうだ。
間の悪いことといったら。




スポンサードリンク



タグ:揺れる米国
nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

当選を境に過激発言は一変、新大統領は米国民の真正TOPに [世相雑感]

米国新大統領.png

まるで別人のような慎み深さだった。
米国の新大統領に選ばれたトランプ氏の勝利宣言には少し驚いた。
早速の過激発言を危ぶんでいたら、「分断の傷を癒やしていく」と殊勝な言いぶりだ。

綸言汗のごとしという東洋の格言はおそらく知るまい。
汗と同じく一度口にしたことは取り消せない・・・。
暴言を吐かれた女性や移民たちが負った傷は簡単に癒やせまい。
政策に関する見識とともに、超大国のリーダーはさらなる謙虚さが欠かせない。

初代大統領ワシントンは大衆の仲間であることを望んだ。
取り巻きは日本でいう「殿下」などと呼ぼうと考えていたが、結局は「ミスター・プレジデント」に決まる。
ごく普通の呼び名がいいと。

初のマダム・プレジデントが誕生するに違いない。
大方の予想に反して世界中が驚愕した選挙。
米国民にとっても、苦渋の判断だったはずだ。
本命もさまざまな批判を抱え、「どちらがましか」の消去法だったからだ。

8年前のオバマ氏は米国社会のチェンジを訴えた。
トランプ氏はまず自分の考えを変えるべきだ。
日韓に核武装を容認するかのような発言や、メキシコ国境への壁建設。
本当に「君子」になったのなら格言通りに豹変を。




スポンサードリンク



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

木製オビジェで命を奪われる、想定外か一瞬で燃えることは [事件事故]

 オブジェ燃える.png

せき払いする人がちまたで目立つ。
<さいちがごほうぎのかぜをひいた/ねんぶつのせきがでるでる>。
仏法の教えに触れたら、せきをするように念仏が自然に口をつくものだ・・・。
幕末の石見国に生まれたげた職人、浅原才市の詩である。

翁は晩年、かんなくずに字を書き付けた。
大工の父親を持つ作家水上勉はこの話に感じ入り、桐からシュルシュル削り出させれる美しさが創作の源では、と想像した。
そういう自分は、かんなくずの海で泳ぐまねをしたと懐かしむ。

5歳の佐伯健仁ちゃんも、木のオブジェで無邪気に遊んでいたのだろう。
その日常が暗転した東京・明治神宮外苑の惨事。
助け出そうとしたが、火の回りはあまりにも早くて。

火元はオブジェに絡めた「木くず」らしい。
アートに生かした発想は悪くないにせよ、恐らくは紙のように薄い木片の山である。
近くで白熱電球を照らせばどうなるか、製作した工業大生なら知っていておかしくないと思うのだが。

健仁ちゃんは、分からないことをほかの子に教える優しい子だったという。
木くずの遊びを見つけて一瞬、喜んだかもしれない。
残された家族の、命を削られるような苦悩の日々を思うと言葉もない。




スポンサードリンク



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

ズブズブの消費者保護ルール、あいまいな食品産地表示基準 [世相雑感]

食品産地表示.png

広島の商店街が衣替えしたようだ。
「カープ坊や」から「えべっさん」へと、アーケードの看板などが一斉に架け替えられた。
祝勝ムード一色だった街が、足早に冬支度を整えつつある。

文字通り冷え込んだ立冬のきのうとぴったり合っていた。
11月7日はいいなべ、で「鍋の日」。
白い湯気が立ち上る鍋が恋しい時季だ。
野菜の高値も心配だが、鍋に欠かせぬしょうゆやみそ、豆腐からも目が離せない。

もうしばらく先かもしれないが、全ての加工食品に原料の産地表示が義務付けられる。
消費者には朗報になるはずだと思っていたら、国がまとめたルール案を見ると解せない部分が残る。

「抜け穴」が早速あるからだ。
複数の国から仕入れたり、頻繁に変わったりして国をはっきり表示できない場合はその限りでない、と。
過去に国産大豆を原料に使ったしょうゆなら、目の前の商品に使ってなくても「輸入または国産」でOKになる。

これでは「世界産」と表示するのと同じだろう。
消費者の誤解を招き、食品会社にもプラスになるまい。
どの国から輸入されたものをどれほど食べているか。
鍋の具をつつきながら考えてみたい。
へんてこりんなルールができる前に。




スポンサードリンク



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。